頭痛の患者さんが来られた時に、なかなか治らないという訴えをよく聞きます。

　こういう徒手療法やマッサージ療法の治療を受けに行くと、よく言われるのが、

「凝っているから頭痛になるんです（緊張型頭痛）」

というセリフです。

　そしてこりをほぐす手技を施すわけです。しかし、患者さんにこりがあるからと言って、すぐに緊張型頭痛であると決めつけるのはまだ早いです。

　患者さんはひょっとして片頭痛の典型的症状である、悪心・嘔吐、光過敏、音過敏、拍動性の痛み、日常動作による憎悪などを訴えていないかもしれない、というか施術者側が尋ねていないのかもしれません。

　そこで緊張型の施術ばかりを受けても一向に治らないということになります。

　一次性頭痛（原因疾患がない頭痛）の場合、とにかく多いのが緊張型と片頭痛であるから、その見分けをしっかりと行うことが、ファーストステップとなります。

　緊張型頭痛は一次性頭痛（原因疾患がない頭痛）の中では最も多いと言われています。ただ、片頭痛と違い嘔吐、悪心などの日常生活に影響する症状がないため、あまり重要視されません。

　よく頭痛があると「肩こりはありますか？」と聞かれます。これに「はい」と回答すると、すぐ「緊張型頭痛」と分類されることがありますが、片頭痛の患者さんの75％にも「肩こり」がありますので、早合点しないようにしなければなりません。

　緊張型頭痛は次のように下位分類されます。

• 稀発反復性緊張型頭痛
• 頻発反復性緊張型頭痛
• 慢性緊張型頭痛

　緊張型頭痛はこの型により治療方針が異なるため、通常は下位分類まで行います。

〇稀発反復性緊張型頭痛
　この型は通常痛みは軽く、治療や通院の必要はないとされています。

〇頻発反復性緊張型頭痛
　この型はしばしば日常生活に支障をきたすようになり、薬物療法などの対象となります。

〇慢性緊張型頭痛
　慢性になると、痛みも強くなり、仕事や家事をするのが困難になってきますので、定期的な通院や治療が必要になります。